マイナス金利とは|日銀のマイナス金利解除や仕組みなどをわかりやすく解説
マイナス金利とは、銀行にお金を預ける際に、利息を受け取るのではなく利子を支払う仕組みのことです。
日本では、市中銀行などが日本銀行(日銀)に預ける当座預金の一部に対して、マイナスの金利が付与される政策が行われていました。
本記事では、マイナス金利の背景や仕組み、よくある質問などを解説します。
目次
- 1.マイナス金利とは
- 2.マイナス金利の背景と仕組み
- 3.マイナス金利のメリット・デメリット
- 4.マイナス金利の解除について
- 5.マイナス金利に関するQ&A
- 6.【まとめ】マイナス金利とは|日銀のマイナス金利解除や仕組みなどをわかりやすく解説
マイナス金利とは
マイナス金利とは、銀行にお金を預ける際に、利息を受け取るのではなく利子を支払う仕組みのことです。
日本では、市中銀行などが日本銀行(日銀)に預ける当座預金の一部に対して、マイナスの金利が付与される政策が行われていました。
銀行にとって当座預金を増やしすぎると損になるので、手元資金を貸し出しや運用に振り向けます。
資金が世の中に十分に行き渡る場合、経済の活性化と物価の上昇が期待できます。
なお、上記の日本のマイナス金利は銀行に対して課された制度でした(一般の預金者は適用外)。
マイナス金利の背景と仕組み
日本におけるマイナス金利の背景と、仕組みについて解説します。
- ・背景
- ・仕組み
背景
日本でマイナス金利が採用されたのは、2010年代を中心とする期間であり、当時はデフレが問題視されていました。
> 国別経済指標
上のグラフは日本のCPI(消費者物価指数)の推移で、2000年から2021年末付近までを示しています。
赤線はゼロ%であり、日本のCPIはゼロを挟んで上下してきた様子がわかります。
数字1と2の部分で物価が上昇しているものの、これは持続的な景気回復を反映したものではありませんでした。
- ・1:リーマンショック前の物価上昇(2008年)
- ・2:消費税率引き上げに伴う物価上昇(2014年)
デフレを解消するには、世の中に出回るお金を増やすことが重要です。
そこで、銀行に対してマイナス金利を付与することで、家計や企業に対して貸し出しを増やすよう促す目的がありました。
仕組み
日銀の当座預金の3層構造のうち、「政策金利残高」にマイナス金利を付与しました。
- ・基礎残高:銀行が以前から日銀当座預金に預けていた資金で、年0.1%の金利を付与
- ・マクロ加算残高:日銀への預け入れが義務付けられた資金などを指し、年ゼロ%の金利を付与
- ・政策金利残高:上記2点の合計金額を上回る部分について、年マイナス0.1%の金利を付与
銀行が必要以上に預けた当座預金に対して、マイナス金利を付与しました。
マイナス金利のメリット・デメリット
マイナス金利のメリットとデメリットは、主に以下の通りです。
メリット
マイナス金利のメリットは、貸出金利の低下です。
銀行は日銀の当座預金に資金を預けると、支払いが生じます。
そこで、マイナス金利導入後、金利を引き下げてでも貸し出しを増やす傾向が見られました。
特に短期金利の低下が促され、住宅ローンなどの金利も市場金利の低下を通じて間接的に下がる傾向が見られました。
デメリット
デメリットは、金融機関の経営が圧迫される点です。
銀行は日銀当座預金に資金を預け入れると支払いが生じ、貸し出す場合は従来より金利が低下するため、収益を上げづらくなります。
また、貸し出しでなく運用に回す場合も、金利の低下により収益力が低下した模様です。
マイナス金利の解除について
日銀のマイナス金利の解除理由や影響は、主に以下の通りです。
- ・日銀がマイナス金利を解除した主な理由
- ・マイナス金利解除による影響
日銀がマイナス金利を解除した主な理由
> 国別経済指標
上のグラフは日本のCPIの推移で、2006年以降を示しています。
日本のCPIはゼロを挟んで推移したものの、チャート右側(2022年付近)以降は継続的にプラスで推移しています。
日銀は2024年3月、物価の安定的な2%上昇に加えて、賃金の持続的な上昇が確認されたことを受けて、マイナス金利を解除しました。
2025年5月時点で、CPIは2%を継続的に超える水準で推移しています。
マイナス金利解除による影響
マイナス金利の解除とはすなわちプラスの金利に戻るという意味であり、さまざまな分野で金利上昇が見られました。
- ・住宅ローン金利の上昇
- ・預貯金金利の上昇
- ・貸出金利の上昇
この結果、銀行の事業環境も好転した模様です。
5大銀行グループの2025年3月期決算において、合計の連結純利益は4兆円を超えています。
2期連続で最高益を更新しました。
マイナス金利に関するQ&A
マイナス金利に関するよくある質問は、主に以下の通りです。
- ・マイナス金利が解除されるとどうなりますか?
- ・マイナス金利はいつからですか?
- ・マイナス金利は簡単にいうとどういう意味ですか?
マイナス金利が解除されるとどうなりますか?
マイナス金利が解除されると、金利が上昇しやすくなります。
預貯金金利の上昇は預金者にとってメリットです。
その一方、住宅ローン金利や貸出金利も上昇するので、債務者にとって負担が重くなります。
マイナス金利はいつからですか?
日銀がマイナス金利を導入したのは、2016年1月です。
2024年3月まで継続しており、マイナス金利の期間はおよそ8年2か月でした。
マイナス金利は簡単にいうとどういう意味ですか?
マイナス金利を簡単にいうと、「お金を預けるには、お金を支払う必要がある」ことです。
日本では、銀行が日銀に預ける資金の一部にマイナス金利が適用されました(一般の預金者に対しては適用されませんでした)。
【まとめ】マイナス金利とは|日銀のマイナス金利解除や仕組みなどをわかりやすく解説
マイナス金利とは、銀行が日銀に預ける当座預金の一部に対して、マイナスの金利が付与されることです。
銀行に対してマイナス金利を付与することで、家計や企業に対して貸し出しを増やすよう促す目的がありました。
2016年1月から採用され、解除されたのは2024年3月です。
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